【初心者の方へ伝授】ひとり呑みの極意

ひとり呑みの極意

自分も気づけば40歳に差し掛かろうとしている立派なミドルエイジ、やはり若かったころとは飲むお酒も飲む量も変わり、そして一人で飲みに行く機会も増えました。

そんな自分の足跡をたどりつつ上手く溶け込むコツをご紹介できればと思います。

お店選び

初めてのひとり呑みの第一関門はお店選びです。

最初はあまり冒険せず、老舗大衆酒場から始めるのがいいと思います。

十条「斎藤酒場」
池袋「ふくろ」
新宿「番番」
大井町「大山酒場」
銀座「三州家」
北先住「大橋はし」

などが、始めて一人で行っても比較的居心地はいいと思います。

常連さんたちが毎日のようにやってくる酒場のほとんどは、その酒場独特のローカルルールのようなものがあり、お店の方も必要以上に愛想を振りまいてこないため、慣れない人は最初「接客態度が悪い」と思ってしまうかもしれません、

しかしこれは地元に根差した酒場だからこその暗黙の了解みたいなところがあります。

始めに挙げた酒場は交通の便もよく駅からの距離も近いため地元の方々ももちろんいらっしゃいますが、同じくらい一見さんもいらっしゃるのと、昔から人気を得ているお店の為厳しいローカルルールや、愛想のなさをある程度解消してくれて、初めてでも一人で入りやすいのです。

自分も最初は戸惑いましたが、いったんわかってしまえば何も気になりません。

訪れる時間帯としては平日の夕方がおすすめです、自分は不定休な仕事で週末はあまり休みがなく、平日のほうが時間に余裕があるということもありますが、週末は平日の地元感が若干失われてしまうからです。平日はほぼ毎日のように仕事帰りに立ち寄っていくご年配のひとり呑みの方々がいらっしゃいますが、週末は若い方やカップルなど客層が変わってしまうので、本来の姿は平日の夕方のほうが鮮明です。

さあ、お店の前まで来ました!

一人で初めて訪れる酒場に入るのはちょっとした勇気が必要です。自分も若いころになかなか入店できなかったのは興味はあるけど、未知の世界だから勇気が出なかったことももちろんあります。
今でも新しいお店に入るときはドキドキするものです。

引き戸を開けて店内に入ると、店の人が近くにいる場合は「いらっしゃいませ」の声がかかります。
「ひとりです」と人差し指を立てて示すと
「おひとり様、こちらへどうぞ」と空いている席を案内してくれる場合もありますし、
「はい、(おすきなところへ)どうぞ」といわれることもあります。

わりと大きめの大衆酒場の場合はざっと見渡してテレビが見やすかったり、壁のメニューが見やすかったりする席を選ぶと退屈しません。

また店に入ると同時に、店内の視線が一気に自分に集まることがありますが、そういう店は自分の経験上は常連客が多いお店です。
新しいお客さんが入ってくると、みんなが一斉に自分の知り合いじゃなかろうかとチェックしているのです。
そういったお店はむしろ一人客大歓迎のお店だと思ってもらって間違いありません。

最初に紹介した老舗大衆酒場は、いずれも「超」がつくほどの人気店、たとえ一人でも満員で入れないこともあります。
「ごめんなさい、今日はいっぱいなんです」そういわれることもよくあります。

ただし、そうやって店員さんに断られる前に、自分で「あ、満員か」と勝手に判断して店を出ると、大事なチャンスを逃してしまっているかもしれないので注意が必要です。

いっぱいに見えてもどこかに空席があったり、常連さんが「そろそろ帰るから、ここつかいなよ」と席を譲ってくれる場合もあります。
基本的に店の人の指示に従うということが大事です。

初めてのお店でお酒を選ぶコツ

 

席に座ると、店によってはお手拭きなどを出してくれたりしながら、「まずは飲み物はどうしましょう?」と聞かれることがほとんどだと思います。

始めていく店で一番安心できるのは、なんといっても瓶ビールです。瓶ビールであれば大体どこのお店に行っても味も値段も大きな違いはありません。
またアルコール度数(5%ぐらい)的にも最初に頂く飲み物としてぴったりです。

トクトクトクとグラスに注いだら一番おいしい最初の一口をググ~っと喉の奥へ押し込みます。
プハァ~、っと一息つく頃には、初めての店でも、いつものペースになってくるはずです。

「ごめんなさい、うちは瓶ビールおいてないんですよ」

中にはそんなお店もあると思いますが、あわてて生ビールを注文しないように気を付けてください。

生ビールはお店によって非常に味の違いが出やすいからです。

生樽がしっかり洗浄できているか
生が回転していて新鮮な生樽が用意されているか
生の注ぎ方がうまいかどうか

などお店の実力が分かってくるまでは、生ビールにはうかつに手を出さないほうが賢明だと感じます。

そんな時には周りに目を向けて、他のお客さんのところに多く出ている飲み物や、そのお店の一番押している飲み物を注文するといいと思います。

以前勤めていた会社の近くにアサヒのビール工場があったので、工場見学に行ったことがあるのですが、生ビール(樽詰め)も瓶ビール(瓶詰め)も、そして缶ビール(缶詰め)も、同じ銘柄であれば、中に入っているビールは全く同じものです。

要するに、いかに鮮度がいいか、いかにうまく注ぐかがポイントになってくるのです。

日本酒も同じように、保存の仕方によって大きく味が違ってしまう品物の一つです。中でも燗酒は、日本酒に力を入れている店と、そうでない店では、味が全く異なります。

美味しい地酒がブームになっているようでも、世間全体から見ればほんの一握りの現象にしかすぎません。
何も知らずに注文するとまずい日本酒が出てくるお店のほうがまだまだ多いというのが悲しい実情です。

 

一杯目の飲み物をもらったら、ゆっくり、ぼーっとしながら、今後の展開を考えます。
周りに皆さんが注文しているものは何だろうか、どんなつまみを注文しているのだろうか、どんな飲み物があるんだろう、などを観察しながら飲むのも、一人のみの愉しさでもあります。

飲む量としては、ビール大瓶1本、日本酒やワインなら一合、焼酎六勺、ウィスキー・ダブルで一杯をそれぞれ1単位として考えます。

もし瓶ビールを1本もらったのであれば、あと酎ハイを1~2杯か、日本酒を1~2合といったところ。
2~3単位ぐらいがほろ酔いの限界点なのです。

1単位のアルコールを分解するのに大体3時間ほどかかるそうです。2単位ならば6時間、3単位ならば9時間、このことからも、二日酔いにならずに一晩で体を回復させるためには、3単位以内にしておくのがいいと思います。

一人で飲む場合にはできるだけゆっくり飲むことを自分に言い聞かせながら飲むぐらいがちょうどいいと思います。

おつまみのオーダー方法

酔いすぎないためにも、そして胃腸を守るためにも、お酒はつまみと一緒に楽しみましょう。

つまみを頼むときに注意しなければいけないのは、頼みすぎないこと。
全体のバランスが大事ですので、自分の前に常に1,2品つまみが並んでいる状態が望ましいと思います。

すぐに出るものを一品、少し時間がかかるものを一品。合わせて2品程度注文するのがいいのではないでしょうか。
お通しが出るお店ではそれをすぐに出る一品として捉えてもいいと思います。

すぐに出る一品としては調理を終えてスタンバイされているものや、あまり調理をしなくて済むものが候補です。

たとえば、おでんや煮込み、漬物などがそうです。

塩辛などの珍味類も早く出ますが、最初からお酒が進みすぎる危険もあるので要注意です。
あまり調理しなくても早く出てくるつまみの代表が冷奴です、醤油をさっと回しかけてひとつまみづつ、つるっ、つるっと食べると、こんなシンプルな料理がこんなにおいしいなんてと感動してしまいます。

納豆やサラダなんかも調理が少なくておすすめです。

定番の鉄板な組み合わせもあります。

たとえばビールには枝豆。たまに注文を受けてから茹で上げてくれるお店もありますがそれほど時間はかかりません、日本酒ならばおでんや冷奴、酎ハイには煮込み、みたいな組み合わせも下町大衆酒場の定番。

煮込みは使っている素材や使っている部位が違うため、お店お店の特徴が楽しめます。

ちょっと時間がかかってもいいから食べたいものがその店の看板商品、例えば魚料理のお店なら、刺身、焼き魚、煮魚。
専門店で頂く焼き鳥やもつ焼きなどの串物も、少し時間がかかってしまう料理の一つです、冬場の一人鍋なんかも是非食べたい料理の一つです。
目の前でグツグツと出来上がっていく様子を見ているだけでいいつまみになります。

帰宅途中にふらっと一人のみをするって方は基本的には「二品と二杯」を基準にしてもらえるといいかと思います。

つまりおつまみを二品、お酒を二杯のんで1時間ぐらいしたらすっと帰る、一人で飲むとどうしても食が進んでしまうので料理のほうも
お酒と同じように「ゆっくりとすくなめに」と自分に言い聞かせながら飲むのがおすすめです。


注文をするときには大声を出さないのが基本です。いい酒場では、店の人が客のことをよく見ていますので、アイコンタクトで目を合わせる
あるいは軽く手を上げるくらいですぐに気付いてくれると思います。

一人、もしくは少人数で切り盛りしているようなお店で気付いてくれそうにない場合は、客のほうがちょっと待つといった余裕も必要です。

忙しそうな状態の時に「すいませーん」と言って気付いてもらっても忙しいのに拍車をかけるだけで、全体としてあまりいい状態にはなりません。

一人のみ五か条

自分が一人のみをするときに気にしていることをまとめてみました。もちろん明確なルールがあるわけではないので必ずしもといったわけではありません。

極端に言えば他人に迷惑をかけなければどんな過ごし方をしてもいいわけですが・・・

⓵お邪魔させていただく気持ちで飲む
⓶のんびりと楽しむ
⓷お酒やおつまみを楽しむ
⓸酔いを自覚する
⓹自己責任で飲む

 

⓵お邪魔させていただく気持ちで飲む

家族経営の小さな酒場だったり、大衆酒場はその地域の人たちの集会所的な意味合いも持っています。
その酒場の雰囲気は、そこに集まる皆さんが長い年月をかけて作り上げてきた貴重なもの。その場にお邪魔させていただく気持ちで入店しましょう。

なにかのきっかけで隣の人と話したりするのも酒場の楽しみの一つです。
酒場によっては常連さんや店の人がリードする形で、一見さんに近い人を仲間に入れてくれようとしてくれますので、自然の流れで輪に入れればいいと思います。

酒場の一番楽しい過ごし方は酒場の雰囲気にどっぷりつかって、ふわりふわりと漂うのがいいと思いますので逆らわず流されましょう

古くから続く酒場にはその店ならではのローカルルールなどもあったりします。
中野にあるウナギ串焼きの「川次郎」では最初は必ずウナギの串焼きを注文する。という暗黙のルールが存在します。
最初はおでんだったり、魚が得意なお店であれば生ものだったりというのもローカルルールです。

あるいは「酒類は3杯まで」「焼酎は3杯まで」やお店の人に「おにいさん、何にする?」と聞かれるまでは注文してはいけないといったお店もあります。

まずはその店の流儀を知ろうとする姿勢が大事だと思います。

テレビがある店もあり、他のお客さんとの共通の話題になりやすいのですが、政治や宗教の話題はさけたほうがいいでしょう。
知ったかぶりをしたり、偉ぶったりするのも嫌われます。

その酒場でそこのお客さんと長く付き合っていくには背伸びをせず、ありのままに、正直に過ごすということです。

その店になじむまでは、あまり「俺が俺が」と自己主張はせずなるべく静かに過ごすのがいいと思います。

⓶のんびりと楽しむ

やけ酒的な飲み方はだめだと思います。
嫌な気分の時でもうさ晴らしが目的のお酒は楽しくないものです。
その店のお酒やおつまみ、あるいはその酒場の雰囲気に集中しようとするのがいいのではないかと思います。
「ちょっと美味しいものでもつまんで気分転換して帰るか」

ぐらいの気持ちで臨むのがいいと思います。嫌な事がいっぱいあって気分がむしゃくしゃするとき、そんな時は自分の行きつけの酒場へ向かいます。
行きつけの店で店の人やお客さんと話していると、自分の考えが嫌な方に向かうのを防ぐことができ、飲むにつれて知らず知らず酒場の雰囲気に集中できるようになってきます。

現代社会は会社にいても、普通に暮らしていても日々変化が求められています。
それゆえに、毎日行く人にとってはもちろん、何か月ぶりに行っても、何年ぶりに行っても、前と全く変わらない料理を食べることが出来て、お酒を飲むことが出来る。

まさに万古不易という言葉を具現化したような、「変わらない為の努力」をしてくれているのです。

たとえば野毛にある「武蔵屋」は、年中いつ行っても、3杯のお酒を飲む間に 玉ねぎ酢漬け、おから、鱈豆腐、納豆、お新香という変わらぬ5品のつまみが出されます。武蔵屋ほどでないにしろ古くから続く酒場にはほぼ同じような不変の美学を持ち合わせている酒場が多いです。

そんな不変な空間の中ゆったりと身を任せていると今抱えている問題なんてなんだか小さな問題だと不思議と思えてきてしまうものです。
酒場にどっぷりとつかりふわりふわりと身を任せていると、ちょっと横に置いておいた嫌なことなども気が付いてみればどうでもよくなっているものです。

⓷お酒やおつまみを楽しむ

酒場のおつまみは旬の食材が盛りだくさん。美味しいお酒と共に季節感が楽しめます。
特に大衆酒場のおつまみはそのときに最も出回っていて値段が安くなっている食材を仕入れますので旬まっさかりのおつまみが出されることが多いのです。

ずらっと並んだメニューの中から「次は何を食べようか」とか「これってどんな料理なんだろう?」なんてことを考えるのも楽しいですよね。カウンターの中で料理が出来ていく様子を眺めたり、お客さん同士が交わす酒やつまみの話に耳を傾けたり、お酒をチビチビやっていると時間がたつのも忘れてしまいます。

初春の頃から登場する空豆が徐々に枝豆に代わっていくのをいくのを見ると「今年も夏が近づいてきたかな」と思ったり、牡蠣や鱈白子が出る時期になると「これは燗酒かな」と冬の到来をワクワクしたりするのです。

その店ならではの名物料理も外せません。

例えば立石の「宇ち多」では、大鍋でつくられるもつ煮込みの中のホネと呼ばれる部分が大人気。毎日限定10個ほどのホネを求めて開店前から行列ができるほどです。

我妻橋の「わくい亭」では大きな大きなメンチカツお皿一杯のメンチカツをフォークとナイフで切り分けて食べるのです。わくい亭はすべての料理がおいしいと評判です。

銀座や神田、飯田橋にある「三州屋」では名物の鳥豆腐、だしのよく効いたスープに鶏肉と豆腐、青菜が入ったものが丼で出されてポン酢醤油で頂くという、水炊きに近い感じの料理なのですがお店のおねえさんいわく「同じように家で作ってもこの味は出ないの、やっぱり大鍋でつくらないとだめなの」

どこの三州屋にいっても必ず注文するのが鳥豆腐です。店ごとに出汁や具などがちょっとづつ違うのもまた面白いです。

 

飲み物にもその店ならではの名物があります。

銀座のビアホール「ライオン」新橋「ピアライゼ98」の生ビール

赤羽「米山」のフローズンホッピー

西巣鴨「高木」の牛乳割り

世田谷「酒の高橋」の豆乳割り

なんかもそうです。名物的な飲み物は本当においしくてすいすい飲めてしまうので危ないお酒です。

そして一番大切なことは「残さず全部頂く」ということです。料理はもちろん、お酒も飲みほして店を出るのがいいですね。

⓸飲みすぎない、酔いを自覚する

ちょっと酔っぱらってきたな、そろそろ酔い始めたなとかの加減を自分でコントロールして、次の日の朝辛いかな、とか自分で制御できる範疇で飲むのが望ましいです。



他のお客さんと意気投合してついつい飲みすぎた、気付いたら泥酔していたなんてのが一番たちが悪いです。体にもよくないですし、財布にもよくないです。
「粋だな」「スマートだな」と感じさせる人は去り際が実にきれいです。

まわりのみんなからもうちょっといてくれると楽しいのになと思ってもらえるように、少しの余韻を残しながら

「私はこの辺で」とスッと立ち去る。そんな飲み方がスマートで心がけたいですよね。

くれぐれも「なんだよ、あの酔っぱらいは、早く帰ればいいのに」と思われるほどの長居はしないように気を付けたいところです。

どのぐらいがちょうどいいかというと2,3杯のんでつまみを2品ぐらいで約1時間から1時間半ぐらいが丁度よく、ちょっと足りないかなーと思うくらいが一人のみにはいいと思います。

酔いを自覚して飲む代わりに自分の飲み方を定型化することによって飲みすぎを防止しているベテラン吞兵衛さんも大勢います。

最初に酎ハイと刺身を注文して、酎ハイをお替りしてもう一品。常連さんたちと話が盛り上がってきても、2杯目が終わるころには「これで2杯目だから、今日はもう帰るよ」と残っている酎ハイを飲み干して席をサッと立つのです。

⓹自分の責任で飲む

例えば支払い、たまにおごったり、おごられたり、または会社の飲み会、接待などの会社の費用で飲んだりすることもあると思います。

しかし一人のみの場合は当たり前ですが自分の小遣いで、その場で現金支払いできる範囲内で飲むことが前提です。
家族にも迷惑をかけないように自分の懐具合に合った行きつけの店を見つける事も大切なことだと思います。

そして重要なのは振る舞いです「酒席のことなので」や「酔っぱらっていたから」など若いころには通用していたことも30も過ぎればそんな言葉は一切通用しません。酒の席のことであっても自分のしたことに責任を持たなければならないのです。

あまり気にしすぎても楽しくありませんが、酒の上での品格もよくなるように普段から心がけないといけないなと思います。

色々書きましたが酔うにつれて冷静かつ論理的な判断ができにくくなってくるので、これらの項目を守るようにしなければと心がけながらも、その実行は結構難しいというのが実情だと思います。

とはいえ自分もいまだに実行できていないことも多々あります。「こうでありたい」と思うようなきれいな飲み方は、永遠の課題ですね。



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